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女神と下僕の道中記!-女優とヘタレのTS日記- Over the Distortion Episode:00-誘イノ刻-
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2008.05.21 (Wed)

Over the Distortion Episode:00-誘イノ刻-

カバリア島訪問記録。
小説調でお送りします。

Over the Distortion
Episode:00-誘イノ刻-

【More・・・】





 しまった――
 そう思ったのは、あたしの左ストレートが華麗に彼を壁まで吹っ飛ばした瞬間だった。
 彼――そう、あたしの夫になると、この場にいる誰もが思っている青年。
 ごん、と鈍い音。
「……あ」
 思わず声が漏れる。冷ややかな空気が、全身の皮膚を刺す。
 あたしは180度身を翻し、そのまま見合い会場から逃げ出していた。



 タイトなロングドレスは、窮屈だけどけして嫌いじゃない。
 ただ。
「エリーお嬢様、眉間に皺が夜ってますよ。女は愛嬌、もっと微笑まないと」
「……余計なお世話よ」
 ――笑おうが仏頂面だろうが、誰もあたしなんか見てやしないわ。
「『お父様の娘』。それ以上なんの情報が必要だっていうの?」
 つっけんどんに呟くあたしに、後ろから困り果てたような声が届く。
「お嬢様……はぁ、またそんな拗ねたようなことを言って。殿方が遠のきます」
「結構よ。お父様の望みどおりにならない程度のデメリットでしょう?
 あたしには痛くも痒くもないわ」
 刃向かわず口答えせず笑顔を絶やさず三歩下がってついていく。もう、聞き飽きた。
 求められるのはいつだって、あたしが持っていないモノ。
(だったら、……あたしじゃなくたって、いいんじゃない)
 亜麻色の髪が、さらりと頬をくすぐった。



 見合い相手の男は、いかにもお坊ちゃんといった様相の青年だった。
 清潔感もそこそこ、口調に品もある。学歴も申し分なく、将来も約束された身分。
 別に嫌いでもないけれど、それこそ興味も惹かれなかった。
「エリューゼさん……ご趣味は?」
「ええ、声楽を少々」
 口端に僅か笑みを落とし、淡と答える。
 相手を値踏みする気も起きない。どうせあたしに、選択権などないのだから。
「ご子息はチェロ演奏がお上手だとか。これは気が合いそうですなあ」
 それに、あたしよりこの青年より、年寄り連中のほうがよく喋っている。
「そういえば、彼女は学業も――」
 あたしの視線は時計へと流れる。
 ……進みが遅い。この時計壊れているんじゃないかしら。そんな気にさえなった。
 そっと口元に手を当て、何度めかの欠伸を噛み殺したそのとき。
「問題ありませんよ。
 女性なのですから――ただ座っていてくださればいい」
 気がつくと、
 あたしは立ち上がり、力一杯――見合い相手をグーで殴り飛ばしていた。



「しかしまあ、綺麗にふっ飛んだわよねぇ」
 とか言っている場合でもない。
 紫水晶に似た色の双眸をほそめ、あたしは街の片隅で途方に暮れていた。
 既に月は仄かな光を湛え、外套があたしの影を蒼く延ばす。
 ……しかしまあ、まずは宿を何とかしないといけない。
 あたしの背が壁を離れたそのとき、見覚えのある顔が視界に入った。
「――エリューゼ?」
 相手の口があたしの名を刻む。
 そこにいたのは、何の因果か――学園で生徒指導も担当している、あたしの担任教師だった。
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テーマ : トリックスター0(ラブ) ジャンル : オンラインゲーム

15:22  |  ツンデレラ歌姫 エリューゼ  |  TB(0)  |  CM(0)  |  EDIT  |  Top↑

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