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女神と下僕の道中記!-女優とヘタレのTS日記- Over the Distortion Episode:00-最後の***-
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2009.03.01 (Sun)

Over the Distortion Episode:00-最後の***-

カバリア島訪問記録その3。ディス(獅子)編。ねこもちょっとだけ登場。
小説調でお送りします。

その1・エリー(猫)編はこちら。
その2・槇世(狸)編はこちら。

ディスは公式設定のライオンとかすりもしないごーいんまいうぇい設定なので、
そういうのが苦手な方は回れ右。


Over the Distortion
Episode:00-最後の***-

【More・・・】

 血のにおいが消えない。
 いつになくそう思えて、俺は着けていた手袋をゴミ箱へ捨てた。
 血のにおいなんてものは、俺のような稼業(シゴト)をしていれば日常的に感じるものだ。
 ……今更、何故そんなものが気になったのか。
「何やってんだ、俺は」
 自嘲に笑みをおとし、俺は銃弾を愛銃に詰めた。



「――いつまで寝てるのよ!?」
 ソファで仮眠をとっていた俺は、携帯端末に叩き起こされる。
「随分眠そうね?『死神』さん」
 からかうような女の声。
 死神――というのは、『組織』における俺の通り名だ。
「悪かったな。……仕事に支障はないさ」
 相手の姿があるわけでもないのに、べ、と舌を出す。
 電話越しに、鈴の鳴るような笑い声が届いた。
 彼女の名はメティス。俺の司令官だ。
「――で?次はどいつをやればいい?」
 雑談は早々に切り上げ、俺は用件を尋ねる。
 つまんない男ね――なんて憎まれ口が聞こえた気がした。
 ……が、彼女のそれにつきあっていては身が持たない。
「標的のデータは、いま端末に送ったから確認して頂戴。
 今回はあたしも出るから、早く支度してよね」
 こん、こん、と。
 窓を何かが叩く。
「早く……って、もう来てるのかよ……」
 窓の向こう側に、赤毛の女が手を振っていた。
 大抵の男なら口笛を吹くだろう。
 アーモンド形の瞳を長い睫が彩り、華奢な肩へ赤い髪がおちる。気の強そうな唇はつややかな珊瑚色。女性にしてはやや長身で、所謂モデル体型というのだろうか。そんな感じだ。
 印象は――よく引っ掻く猫。
「へいへい、っと……」
 俺はぱちりと端末の電源を入れ、送信されたデータを参照する。
 闇の社会ってやつを牛耳っている、葉巻を吹かした男が映っていた。
 つらつらと並ぶ文章を読まずとも、この男を俺は知っている。
「珍しいな。アンタが出向くなんて」
「あら、少しは喜びなさいよ。これから美女とデートなんだから」
「……冗談じゃねえ。ンなスリリングなデートは御免だ」
 これから死地に赴くかというときに、彼女は軽口などこぼしている。
 ――それが。
 俺と彼女の、最初で最後のデートとなった。


 一時間後――
 密航中の船の上。
 俺たちは、銃を持った男たちに囲まれていた。
「……どっかで情報が漏れた可能性が高いわね」
 舌打ちする声を、端末越しに聞く。
 そんなばかな。
 ――一流のハッカーだって、あのプロテクトを破るには半日はかかるぜ!?
 しかし別の可能性にぶち当たると、俺は開けた口をつぐんだ。
 情報を流したのが、内側の人間であれば。話は別。
 つまり、それは。
「出る杭は撃たれる――って奴か?笑えねえな」
 く、と喉で笑う。
 取り囲んでいた男のひとりが、ゆるく首を振った。
「『死神』にも――お迎えというのは来るようだな?」
「はっ……じょーだん、」
 周囲に視線を巡らせながら、俺は嗤ってみせる。
 できることなら避けたかったが、この際止むを得まい。
 かちり。
 親指がスイッチを押すと、男たちの背後に爆音が轟いた。
 どおおおぉぉぉ……んっ!!!
 同時に、爆煙が煙幕の役目を果たし、連中から視界を奪う。
 この中で、誰を撃ってもハズレがないのは俺だけだ。
 ぱぁん、と弾ける音がいくつか響き、それから靴音が駆け抜けていった。

「……ッ、無事か!?」
 ドアを蹴開けると、そこには赤毛の女が倒れていた。
「……ぁ、」
 視線だけをこちらに向けて、彼女は少し微笑んだようだった。
 俺はその口元に手を差し出し、喋るな、と暗に告げる。
「そーはいかないわよ……ッ。
 ほら、今のうちに喋っとかない、と、あはは」
 あははじゃねえっつーの。
 こちらが苛立ったのを感じ取ったのか、彼女は白い指を伸ばした。
 ぴん。
 鼻先をつつかれる。
「…………。」
「こほ、っ……ここ一帯は、あと3分で爆発するわ。
 ……逃げなさい」
 咳き込みながら、やけにはっきりと彼女は言い放つ。
「バカ、だったらなおのこと――」
 言いかけて、気づいた。
 赤やら青やらのコードを辿ると、彼女の手足に行き着くことに。
「ン、な、……ッ!?」
 頭の中が、沸騰するのがわかった。
「映画とか、だったら。かっこよく救出されちゃうのかな、あたし。
 あー……けほっ……そしたら、惚れちゃうかもね?」
 聞きたくない。
 俺はそんな彼女の言葉など聞こえないふりをして、爆破装置の解除を試みた。
(……まあ、パスワードはロックされてるよな、普通)
 繰り返し室内にこだまするエラー音が、神経を逆撫でする。
 幸い、パスワードミスを数度行うと自動爆破とかいうタイプではなかったので、俺は思いつく限りの単語を打ち込んだ。
「……くそ、」
 残り――53秒。
 そのとき、ちゃき、と銃口を向ける者があった。
 部屋にいたもうひとり――俺の司令官その人だ。
「……この部屋から、出なさい。これは命令よ」
 よろめきながら、真っ直ぐに銃口は俺へと向けて。彼女は言い放つ。
「『命令』、か……」
 皮肉にも、俺の心はそこで決まった。
 がしゃん。……ばすんっ。
 『組織』から支給された携帯端末を床に放り投げれば、銃弾がそれを貫く。
 それが、俺の答えだった。
「――え、?」
「これで……ココともおさらばってわけだ。
 もうアンタは上官でも何でもねえ。命令に従う理由はないだろ?」
 へへ、と。今度はこちらが悪戯っぽく笑みを浮かべる。

 ――彼女の居ない組織に、用はない。
 ――彼女の居ない世界にも、……たぶん、用はない。

 ――彼女を救い出せないなら、生きようが死のうが同じことだ。

 俺は再び、パスワード候補を打ち込み続けた。

「……、ばか。
 ありがとう、ディス」

 そう、後ろから声が聞こえて。
 それから。
 もう一度弾けた銃声に、俺は、

 世界を奪われた。


 
「――いつまで寝てるのよ!?」
 俺は、再び女の声に叩き起こされる。
 夕陽にも似た色彩が彩る髪、アーモンド形の瞳、猫を思わせる風貌。
 ……あれ?
 夢でも見ていたんだろうかと、手繰り寄せた思考は痛みに中断させられる。
 上体を起こそうとして、身体が軋んだ。
 霞む視界。サングラスを外してよくよく見れば、
 他人の空似……だと、直ぐに理解した。
「……そんな都合のいい奇跡なんか、ないよな」
 ぼんやりと独り言ちる。
 ――言い残したことも、あったにはあったんだが……まあ、仕方ないか。
「うん、生きてるみたいね。よかったよかった。
 その様子だと、何があったかわかってないでしょ?」
 こくん。
 いきなり問いかけられ、反射的に頷いた。
 密航船に乗り込んでいたはずの俺は、何故か別の船――遊覧船だろうか――の上にいた。
「昨夜、国籍不明の船がこの船にいきなり衝突してね。
 生存者がいるってんで、緊急救助したらしいんだけどー……」
 国籍不明の船。俺が乗っていった船のことだ。
「あたし泳ぐの得意だったから、野次馬ついでについていったのね。
 そしたら、アンタがいたんだ・け・ど」
 そこで、はっとして俺は彼女に掴みかかる。
「……その船!
 俺以外にも、誰かいなかったか!?」
 必死の形相で問いかける俺に、彼女は少し困ったような顔で首を横に振った。
 残念だけど、と。先程より一段低い声が返ってくる。

 ……導火線を手足に嵌めこまれて、命が助かるわけがない。
 道理で考えて、奇跡などあるはずがないのだ。
 頭では理解している。が、心がそれに追いつかない。

 ――俺は。
 はじめて、神様とやらに祈りたい心境になった。
 同時に、憎たらしいとも心から思った。

 ――どうして、アイツだけ連れて行くんだよ。
 ――地獄へ行くなら、俺のほうが先じゃねえのかよ。
 ――どうして。

「……感傷にひたってるところ悪いんだけど。
 アンタが国籍不明の船に乗ってたってのは、クルーには伏せてあるのよ。
 どうせろくでもない身の上なんでしょ?」
 淡々と説明する彼女は、やはり……よく似ていた。
 なんというか、逆らえない雰囲気がする。
「倒れてるアンタを見たクルーにね。
 衝突部の近くにいて怪我したみたい――って、出鱈目言っちゃったのよ。
 明後日にはカバリア島に上陸するそうだから、適当に方便考えておいてよね」
 ……随分と一方的なところまで、そっくりだった。
「そいつはどーも……」
 しかしまあ、彼女は命の恩人らしい。現在進行形で。

 カバリア島――といえば、太平洋に隆起した孤島。
 確か、あいつらもそこの『謎』とやらを追っていた。
 ……まあ、それを先に奪い去ってやるのも、仇討ちにはなるかもしれない。
 なんとなく、これ以上人を殺したくないと思ってしまったのだ。

 ――今更、救いなんざあるはずもないのにな。

「あたしはエリューゼ。今をときめく大女優よ。
 あなたは?……まあ、本名なんて期待しないけど」
「……大女優とか自分で言うなよ。
 俺は――」
 うっかり律儀に突っ込みを入れてしまった。
「俺は――ディス。ディストラート」
 戸籍を持たない人間にとって、本名も偽名もあったものではないが――
 数ある名前の中で最も気に入っていたそれを、俺は呟いた。
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テーマ : トリックスター0(ラブ) ジャンル : オンラインゲーム

17:13  |  死神失敗 ディス  |  TB(0)  |  CM(1)  |  EDIT  |  Top↑

*Comment

あああああキャラが、頭の中で映像を伴って
大活躍をはじめてしまふ。。。


PC8001 |  2009.03.01(日) 22:14 |  URL |  【コメント編集】

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